節税

家賃はどこまで経費にできるのか?

個人事業主にせよ、会社にせよ、日々の支払いにおいて『家賃』は数万円~数十万円と、大きなウエイトを占めますよね。

その分、家賃をできるだけ経費として処理できれば、大きな節税効果が見込めます。

ただ、家賃をどれだけ経費にできるかは、個人事業主と会社とで取り扱いが違います。

というわけで、個人事業主のケースと、会社のケースに分けて、家賃はどこまで経費にできるのかを考えていきましょう。


個人事業主の場合

まず、個人事業主の経費の前提の考え方として、

  1. 仕事のために使う費用は全て経費にできる
  2. プライベートの支出は経費に出来ない

という2つのルールがあります。

というわけで、家賃を経費にできるのは『自宅を事務所として使っている場合』に限ります。

いわゆる『自宅兼事務所』というものですね。

そしてその場合も、家賃の100%を経費に出来るわけではなく、事業用とプライベート用に分けて経費にする額を決めます。これを家事按分といいます。

で、この家事按分のやり方は、厳密には定められていません。基本的には、

  • 家屋の総面積のうち、事業に使っている部屋の面積割合
  • 事業に使っている部屋の使用時間帯

などの客観的な指標を元に按分します。

自分の按分方法が妥当かどうか心配なときは税理士に相談すると良いでしょう。

ちなみに、家賃を100%経費に算入していても、まず税務署から否認されます。自宅にはキッチンや寝室など、プライベートのためだけに使っている部分も必ずあるはずなので。

なので、家賃を経費にできるのは、最高でも50%、かなり攻めた場合でも70%程度でしょう。

また、無条件で家事按分ができるのは青色申告を行っている事業者のみです。白色申告で家事按分する場合、50%以上を事業で使っているものに限られるので、注意してくださいね。


会社の場合

会社が家賃を経費にする場合は、一旦会社の名義でマンションや住宅を借りて、社長や従業員に対して社宅として貸し出す必要があります。

これを『借り上げ社宅制度』と言いますが、この制度をうまく利用すれば、一定の条件下では90%近くを会社の経費とすることができます。

その仕組を解説していきましょう。

例として、会社は家賃10万円の物件を社長に貸し出しているとしますね。

この場合、貸し出している物件が『小規模な住宅』に該当し、社長から一定の算式に基づいた『賃貸料相当額』を徴収しさえすれば、残りの家賃を全て会社の経費にできるのです。

※小規模な住宅とは?
木造で132㎡(40坪)以下、木造以外だと99㎡(30坪)以下の住宅をいいます。
マンション等の場合は共用部分を含めて判定します。

この『賃貸料相当額』の計算が結構ややこしくて、以下の計算式で求めるのですが、

実際に計算してみると、大抵の場合は月額家賃の10%程度に落ち着くことがほとんどです(必ずしも10%程度になるとは限りません)。

つまり、家賃10万円のうち、

1万円を賃貸料相当額として社長から徴収すれば、
残りの9万円を地代家賃として会社の経費に計上できる!

ということになります(この1万円は社長の給料から天引して徴収する場合が多いです)。

残りの9万円には社長個人の所得税・住民税が課税されることもありません。

このように、社宅制度を活用すれば、会社の場合は家賃の90%程度を経費にできるということになります。

従業員に社宅を貸し出している場合はさらに取り扱いが有利になり、

  • 小規模な住宅でなくても上記の算式を適用可能
  • 月額賃料相当額の50%までを徴収すれば良い(=家賃の95%程度まで会社の経費に計上できる)

という制度が定められています。

以上を踏まえると、

「家賃を経費に出来るのは50%まで」はウソ。というか、考えが足りない

ということが分かります。

「えっ、家賃を経費にできるのは50%までじゃないの?」という人もいるかと思いますが、それは社長が『小規模な住宅以外の住宅』に住んでいる場合に限ります。

確かに、「小規模な住宅」以外の社宅に社長が住んでいる場合は、最低でも実際の賃料等の50%以上を社宅家賃として徴収すべき(=会社の経費にできるのは家賃の50%までだよ!)と定められています。

しかしながら「小規模な住宅」、つまり社長が家賃の90%程度近くを経費に計上できる住宅に住んでいる場合でも、当たり前のように家賃の50%だけを経費に計上しているケースがたくさんあります。

ですが、それはあまりにも保守的な経費計上です。

本来経費にして良いものを「家賃は50%までが経費だ!!」と無思考に決めてしまい、結果的に多くの税金を支払ってしまうのは、あまり賢い節税対策とは言えません。

世間一般で言われている通り、「会社の家賃経費計上は50%まで!」という文言を鵜呑みにせず、まずご自身の自宅が「『小規模な住宅』に該当するのではないか?」と一歩踏み込んで考えてみて、そこから本来あるべき経費算入額を見出してみてくださいね。